北海道大学などの研究チームは、市販の日本産の緑茶の茶葉とボトル茶飲料の全てからネオニコチノイド系農薬を検出したと専門誌に発表した。一方、スリランカ産の茶葉からは全く検出されず、国内でネオニコチノイド系農薬が多く使われている可能性があると指摘している。研究チームは、推定摂取量は一日摂取許容量(ADI)より低いが、代謝物質の毒性はまだよく分かっていないという。有機栽培や無農薬の茶葉を選んだり、ペットボトルの茶を過度に飲まない方が無難なようだ。 研究チームは、日本産茶葉39検体とスリランカ産茶葉30検体、国内のコンビニで購入したボトル詰めの茶飲料9検体について、残留するネオニコチノイド系農薬とその代謝物を調査した。その結果、スリランカ産茶葉からは検出されなかったものの、日本産茶葉からはジノテフランなど7種類を、またボトル飲料からはニテンピラムを除く6種類のネオニコ系農薬が検出されたという。 研究チームは、推定最大一日摂取量(MDI)は一日摂取許容量(ADI)より低い結果を得たが、長期間、あるいは過度に消費すると健康への影響が懸念されることがあるとしている。また、大人と比較して脆弱な子どもへの影響が考えられることや、ネオニコ系農薬代謝物の毒性はよく分かっていないことを指摘し、ネオニコチノイド系農薬のリスクと安全性を明確にするため、代謝物の毒性研究や、環境暴露に対する大規模な疫学研究が必要であるとしている。
諸外国と比べ高い残留基準値
日本の茶葉の残留基準値は諸外国と比べておおむね高くなっている。農水省は農産物の輸出に力を入れているが、日本の残留基準値では輸出先で受け入れられない場合が多く、相手国の残留規制値に適合するよう、使用農薬を限定した減農薬栽培のマニュアルを作成して産地での指導に乗り出しているほどだ。マニュアルは、諸外国に比べ日本の茶葉の残留規制値が高い理由として、茶を生産していないことを上げている。しかし、公表されている農水省の調査結果では、茶を生産している台湾の残留基準値は押しなべて低く、農水省の上げた理由はあまり理由となってはいない。 こうした相手国の残留基準値に留意した減農薬栽培が可能であるならば、研究チームが指摘するように、まだよく分かっていない代謝物毒性の研究などを急ぐとともに、予防原則に立ち、暫定的に残留基準値を下げるようにすべきだろう。
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